現在、市販されているモバイルディスプレイは、15.6型がその多くを占めている。同サイズのノートPCと並べるにはバランスも良好だが、ここまで大きいと面積や重量もかなりのもので、13.3型クラスのモバイルノートPCと組み合わせて持ち歩くとなると、小回りが利きにくいことがネックとなることもしばしばだ。

今回紹介するアイ・オー・データ機器の「LCD-CF131XDB-M」(直販のio PLAZA価格で税込み3万2780円)は、13.3型というコンパクトな画面サイズで、12.1型や13.3型、あるいは狭額縁の14.1型ノートPCと一緒に持ち歩くのに適した製品だ。メーカーから製品を借用できたので、その使い勝手をチェックする。

13.3型とコンパクトでボディーと一体化したスタンドを採用

本製品は、HDMIまたはUSB Type-Cで駆動する、13.3型のコンパクトなモバイルディスプレイだ。最近市販されているモバイルディスプレイの多くは、HDMIとUSB Type-Cに両対応した製品が多くを占めており、そういった意味では本製品も一般的な仕様と言える。

ただし気をつけたいのが、本製品にはUSB Type-Cケーブルが添付されず、HDMIケーブルに加えてACアダプターが添付されるという、珍しい構成になっていることだ。つまりUSB Type-Cで接続する場合は、自前でケーブルを用意して下さい、というわけだ。

一般的に、市販のUSB Type-Cケーブルは仕様や品質のバラつきが大きく、こうした周辺機器に付属するケーブルはそのような心配をせずとも使える、いわば「お墨付き」として扱われることが多い。それがパッケージに含まれないのは、他のオプションが付属しないのとは少々ワケが異なる。コンセプトが違うと言えばそれまでだが、戸惑う人も多そうだ。

さて、本製品の特徴となるのはスタンドだ。多くのモバイルディスプレイはスタンド兼用カバーが別パーツとなっているが、本製品のスタンドはボディーと一体化しており、フォトスタンドのように立てられる。

15.6型のモバイルディスプレイの場合、スタンド兼用のカバーと本体を合わせると、重量が1.5kg近くになることもあるため、スタンド込みで実測693gに抑えた本製品は、可搬性において大きなアドバンテージがある。仮に15.6型クラスの製品で同じ機構を搭載しようとしても、重量がありすぎてボディーを支えるのが難しいはずで、この画面サイズだからこそ実現できた機構といえる。

この背面スタンドだが、位置が右端固定なのはやや疑問だ。というのも、狭い作業スペースでモバイルディスプレイをノートPCの右側に並べて置いた時、ディスプレイの右端がちょうどデスクからはみ出すケースがよくあるからだ。そうなるとこのスタンドは、宙に浮いてしまって使えない可能性が出てくる。

筆者はモバイルディスプレイをノートPCの隣に並べる時、左側ではなく右側に置くのが常なので(おそらく多くの人はそうだろう)、この配置はやや困りものだ。ノートPCと左右を入れ替えれば解決するとはいえ、環境によっては不便さを感じることはありそうだ。

スペックは標準的でタッチ操作には非対応

画面回りについて見ていこう。

パネルのサイズは13.3型で、画面解像度は1920×1080ピクセル、視野角は上下および左右とも170度と十分だ。パネルが映り込みの少ない非光沢仕様なのも、この種のモバイルディスプレイとしては悪くない。昨今のトレンドに合った仕様と言える。

一方、ベゼルはやや幅がある。全体的なデザインとしてはまとまっているのだが、このベゼルのせいで狭額縁の14型ノートと並べると多少やぼったく感じるのはもったいない印象だ。

ポートの配置は左側面に集中しており、ACアダプターを接続する電源ポート、HDMI(ミニ)ポート、USB Type-Cポートが順に並んでいる。またイヤフォンジャックも搭載されているので、イヤフォンをつないで音声を聞くこともできる。

なお最近のモバイルディスプレイは、タッチ操作への対応を売りにしている製品も多いが、本製品は、標準で添付されているのがHDMIケーブルであることからも分かるように、タッチ操作には非対応だ。USB Type-Cで接続した場合も、タッチ操作は利用できない。また一部のモバイルディスプレイには搭載される、バッテリーも内蔵していない。

標準の接続方法は「HDMIケーブル」+「ACアダプタ」

では、実際にノートPCと接続してみよう。

前述のように、標準の接続方法は「HDMIケーブル」+「ACアダプター」になる。また自前でケーブルを用意することで「USB Type-Cケーブル」1本での接続も可能だ。

もしUSB Type-C接続時に電力が不足するようであれば、HDMIケーブルを使う時と同様、ACアダプターで補うこともできる。モバイルユースに向いた仕様ではないが、据え置きで使う場合や、社内の会議室で使う場合のようにコンセントが確保できる環境なら、こちらの方が重宝するだろう。

ACアダプターを使わなくても何とかなる!?

ところで、本製品の給電方法については、1つ裏技がある。それはACアダプターに代えて、microBタイプのUSBケーブルを用い、USBポートから給電するというものだ。

側面ポートの写真を見てピンと来た人がいるかもしれないが、本製品のACアダプターを差し込むポートは、USB(microB)ポートそのものだ。そのため、microB仕様のUSBケーブルを用意すれば、それを使ってノートPCなどから給電が行える。

これを使えば、HDMI接続時にもACアダプターを使わず、ノートPCからの電力供給だけで本製品を利用できる。メーカーサイトでは具体的な言及はなく、機器によってはうまく動作しない可能性もあるが、今回の検証環境では問題なく動作したので、ACアダプターを使いたくない人は自己責任で試してみてほしい。

オンスクリーンディスプレイは4つのボタンで操作

輝度などの調整は左側面にあるボタンで、画面上に表示されるメニューを見ながら行う。昨今のモバイルディスプレイでは部品点数を減らすためか、項目選択/決定をまとめて行うジョグダイヤルを搭載した製品が多いが、操作性はいまひとつだ。それに比べて、電源ボタン+4つの物理ボタンを備えた本製品は、直感的な操作が行える。

ちなみに設定可能なメニューは、「輝度」「音量」「入力切替」が上の階層にあり、メインメニューを開けると、さらに「映像」「表示」「本体動作」「メニュー表示」「ヘルスケア」などがあるが、階層構造が分かりづらく、目的の項目を探しにくい。操作性そのものは良好なだけに、もったいなく感じる。

モバイルにベストマッチだが、USB Type-Cケーブル非添付が気になる

以上ざっと見てきたが、コンパクトな画面サイズと、一体型スタンドによる可搬性の高さが売りになる製品だ。タッチ操作に非対応、内蔵スピーカーなし、バッテリーも非搭載と競合モデルのような付加価値こそないが、基本機能については目立つ欠点もない。太めのベゼルが多少やぼったく感じる程度だ。

その中でやはり気になるのは、USB Type-Cケーブルが標準添付でないことだろう。HDMI接続メインで使う人にとって、DisplayPort Alternate Modeに対応した高品質なUSB Type-Cケーブルは無駄なコスト以外の何物でもないし、コンセントが身近にある環境で使うのならば、USBからではなくACアダプターで安定して給電できるのはプラスだろう。他社製品は、そもそもACアダプターのオプションがない場合が多いからだ。

とはいえ、モバイルノートPCとベストマッチのサイズ感で、かつ軽さが売りの製品でありながら、USB Type-Cでの接続には追加出費が必要で、HDMI接続時もコンセントを探さなくてはいけないパッケージ構成は、個人的には疑問だ。決して悪い製品ではないが、他社製品との比較検討にあたっては画面サイズだけではなく、こうした付属品の有無までチェックした方が、トータルでかかるコストを見極められるだろう。