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日本でのプレサービス開始は2019年秋


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「MWC19 Barcelona」ではサムスン、ファーウェイ、OPPO、LGなど、複数のメーカーが5G対応のスマートフォンを発表、展示していました。各メーカーの発表会には、これらの端末をいち早く採用するキャリアがゲスト登壇することも多かったのですが、日本人として少し寂しいなと感じたのは、そうした中にNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクといった日本のキャリアが含まれていなかったことです。

日本では今年中に新たな周波数の割り当てを経て、秋頃から5Gのプレサービスがスタートする予定です。本格的な商用サービスの開始は、来年の東京オリンピックの頃と言われています。一方、海外ではすでにサービスを開始、あるいは今年からサービスインするキャリアも多く、米国や中国、韓国といった国のキャリアが一番の座を競い合っています。果たして日本の5Gは遅れているのでしょうか?


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▲素朴なギモンに答えるNTTドコモ 5G推進室の中村武宏室長

NTTドコモ 5G推進室の中村武宏室長に5Gに関する素朴なギモンをぶつけたところ、「何をもって商用サービスというかはそれぞれの考え方、ポリシーもあります。5Gはグローバルシステムなので、調達などの状況に大きな差はないはずです。あとはどの程度の出来映えで、それを商用化したと言うかでしょう」との答えが返ってきました。

さらに中村室長は「そもそもドコモは、5Gで一番を取りに行こうとは思っていない」とも述べています。実はドコモにはかつて3Gのときに「世界初」にこだわってどこよりも早くサービスを導入したものの、グローバル規格が定まる前だったために後々苦労した苦い経験があるのです。

「あのときの教訓もありますから、何が何でも一番になることに興味はありません。とはいえ大きく遅れるのも困るので、4Gのときと同じように第一陣のグループにはいたいと思っていますし、実際に今もそのポジションにいると認識しています」。


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ドコモはNTTグループと共同で「MWC19 Barcelona」に出展しています。5GとARを用いて多視点でのスポーツ観戦を可能にする「ジオスタ」など、5Gプレサービスで新たな観戦体験ができそうな、ラグビーワールドカップを思わせる展示もありました。

どれだけ早く始めるかよりも大切なのはもちろんですが、「5Gの商用システムをしっかり組み上げて、お客様に安定したより良いサービスを提供すること」と中村室長は言います。その点でドコモは、「他社に先んじて5Gの無線技術の研究・開発に取り組んできましたし、実はその蓄積から論文なども数多く発表しています。スタート時期は一番ではないかもしれませんが、だからといって遅れをとっているというわけではなく、技術的な先進性は十分にあると考えています」とも述べていました。


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▲ドコモの5G技術は準備万端とのこと。秋からのプレサービスに向けた、いろいろな取り組みに期待大です

5Gで使用される周波数帯は、従来から使用されている周波数帯に近い6GHz未満の「sub-6」と、30GHz以上の高い周波数帯を使用する「ミリ波」に分けられます。ドコモはより難しいとされる「ミリ波」を使った5Gの商用化に向けて「まだ課題はありますが、すでにノウハウはかなり貯まっている」と自信を見せます。

周波数の割り当てなどはこれからですが、秋からのプレサービス開始に向けて、技術的には「すでに8~9合目くらいまで準備ができている」と中村室長。さらにプレサービスの開始を盛り上げるため、「まだ詳しいことは言えませんが、法人パートナーとの取り組みだけでなく、今年はコンシューマー向けにも5Gをアピールする企画をいろいろ考えています」とのこと。ぜひ楽しみに続報を待ちたいと思います。

このアプローチを極めたら背面が水玉模様になりそう


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ノキアブランドの携帯電話を設計販売するHMD Globalが2月24日に発表した「Nokia 9 PureView」がスペイン・バルセロナに開催中の「MWC 2019」のノキアブースで展示されていました。

Nokiaの「PureView」ブランドは、カメラを強化したスマートフォンだけに与えられています。初代はSymbian OS搭載のNokia 808 PureView(2012年発売)。800万画素カメラのiPhone 4Sと同時期に登場しながら、4100万画素の高解像度カメラを搭載していました。

その後、ノキアは主力OSをWindows Phoneに転向し、PureViewブランドはWindowsに受け継がれました。そして、ノキアが携帯電話事業をマイクロソフトに売却。マイクロソフトも携帯電話製造から撤退。その組織の一部とNokiaブランドは、ノキアの元従業員が立ち上げたHMD Globalという企業に受け継がれています。

そして今回の「Nokia 9 PureView」は、HMD Globalとして初めてのPureViewスマホで、PureViewブランドとして初めてのAndroidスマートフォンとなっています。

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▲Nokia 9 PureView

これまでのPureViewスマホでは、高解像度なイメージセンサーを搭載していましたが、Nokia 9 PureViewのアプローチはそれとはやや異なります。「レンズを5つ搭載して、多くの光量を集める」という手法です。

MWC 2019の展示では、スマートフォンが壁沿いに固定されていたことから、多くの被写体をためすことはできませんでした。ただし、「Nokia 9 PureViewで撮影された写真」があらかじめ用意されてており、それを見る限りでは、色味の精彩さやモノクロ画像の階調表現の高さは、単なるこけおどし以上のものを持っていることがわかります。

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カメラのイメージセンサーで多くの光を集められれば、暗所でもはっきり撮影できるという点で有利です。一方で、スマホ向けのイメージセンサーは小さく、コンパクトデジカメほど大きなセンサーを積もうとすると(たとえば、Lumia 1020 PureViewのように)、厚みがでてしまいます。

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▲Lumia 1020 PureView

そこで、Nokia 9 PureViewでは、5つのイメージセンサーで同時に撮影し、その画像を合成処理して1枚の写真を作りすアプローチを採用しています。そうすることで、HMD Globalの説明では「同じタイプの単一カラーセンサーよりも最大で10倍多くの光量を集められる」といいます。

5つのカメラのうち2つがカラーセンサーで、3つがモノクローム(白黒)イメージセンサーとなっています。レンズは5つともZEISS(カール・ツァイス)製でF1.82、センサーサイズも共通で1200万画素となっています。

モノクロのイメージセンサーは解像感の記録に適しているため、モノクロセンサーにカラーセンサーから得た色情報を乗せると、カラーセンサー単独よりもくっきりとした映像が得られます。

そして、Nokia 9 PureViewで撮影した写真は、すべてHDRになります。複数のセンサーで記録する感度を変えて同時に撮影し、合成することで、光が少ない部分から光が多すぎて白飛びになる部分まで、色を忠実に記録できるというわけです。


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Nokia 9 PureViewのカメラ部を見ると、5つのカメラ以外に2つの穴があるのに気づきます。1つはフラッシュで、もう1つはToFセンサーです。これは被写体までの距離を検出するもので、3D映像の撮影するカメラにも使われています。

このToFセンサーがあることで、一眼レフカメラで撮ったようなボケ味を合成で追加したり、フォーカスの位置を後から編集したりできます。

これら1つ1つの画像処理技術は特に新しいものではなく、サムスンやファーウェイのスマートフォンでは数年前から搭載されています。Nokia 9 PureViewは、いわばそれらの技術の贅沢盛りと言えます。

一眼に近い巨大センサーを積んでいた「Nokia 808 PureView」とは、"理想のカメラスマホ"を目指すアプローチがずいぶん変わっています。この戦略の転換は、7年の間のチップセットの処理能力の飛躍的向上、画像処理技術の発展を踏まえると納得できるものでしょう。

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なお、Nokia 9 PureViewは、「Android One」スマートフォンでもあり、UI(ユーザーインターフェース)のカスタマイズは最小限に抑えられています。たとえば前述した、フォーカス位置を後から変える編集機能も、Google フォトアプリに組み込まれています。

価格も699ドル(約7万7000円)とお手頃で、「カメラ"だけ"いいスマホが欲しい」という人にはまさにしっくりハマりそうです。HMD Globalが日本で展開していないのが残念と思ってしまうくらい、魅力的なPureViewsスマホでした。


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